お客さんが絶えない活気ある店内の生簀(いけす)にはフグに車えび、たくさんの魚がゆうゆうと泳いでいる。その中にさかさまになった魚が! 思わず声を上げると「卵がいっぱい入ってて、重たいんですよ」と厨房の中から板前さんが教えてくれた。
カウンター席に陣取り、おすすめの海鮮丼定食を注文。料理を待っている間、板場で黙々と魚をさばいている姿から目が離せない。魚は手際良くさばかれて、あっという間に見慣れた切り身の姿になった。
もともと魚屋さんだったお父さんと板前の息子さん。2人で板場に立っている。「やっぱり別府の魚は親父の方が詳しいです」セリでお父さんのお眼鏡にかなった魚を、息子さんがどう調理するか考えるのだという話を照れくさそうにしてくれた。お互いかけがえのない存在なんだろう。
出来上がった海鮮丼はすし飯が見えないくらいに海の幸がのった贅沢な丼。「仕入れによって中身は変わるけど、たいてい12〜13種類、すじのいいのが多いときには20種類くらいのるときもあるよ」とお父さん。
醤油をかけるのではなく、つけながら食べるのがひとつひとつの味を楽しめる食べ方なのだという。定食には旬の食材を使った汁物と小鉢が2つも付いてきた。
カメラが趣味という息子の勝企(まさき)さんは、板場でもデジカメをぶら下げている。料理を写真に記録したり、盛り付けの研究をしたりしているという。撮った写真はブログにアップしているそうだから、帰ってチェックしてみよう。
「本当にお腹いっぱいです。ごちそうさまでした」