兄弟2人共、一緒に働く意志は子どものころから持っていたのだとか。「代々続いてきていることを肌で感じていたから、自然とそう思うようになったんだと思います」と、康弘さん。大学で機械工学を学んだ兄と、経営学を学んだ弟。気付けばお互い学んできた分野とは、逆の仕事をしていたのだそう。「おじいちゃんには『崇史は道具の持ち方がなってない』って言われたし、弟の方がおじいちゃんの血が濃かったんやろうね。やっぱり、それぞれの得意分野で会社を支えていかんと。全部こなせる人はおらんから」と崇史さん。
最初はおせんべい用の型から始まったけれど、時代の移り変わりと共にお菓子やパン用の機器販売に移り変わっていったのだとか。事務所の中に残る、創業当時に作られていた焼き型や焼き印を、一泰さんが見せてくれた。「この辺りは昔のお饅頭焼き機の原型かな。今はこんな型を作ろうという人は少なくなってきたなぁ」。おせんべいの手焼き機は、学校に貸し出されることもあるのだそう。「学校で、先生と生徒さんたちがこれを使っておせんべいを焼いて、修学旅行先にお土産として持っていくと、とても喜ばれるんだそうですよ」と、朱美さん。お店を閉める際、使っていた焼き機を「預かっておいてくれないか」と、持って来るお客さんもいたのだそう。「これは職人さんが使っていた和菓子の木型。使う度にきちんと拭いていたんでしょうね」歴史を感じさせる木型が、ずらりと棚に並んでいた。付き合いが長いから、柄を見ればどこのお店が使っていたものかわかるという。
お客さんの中には「大倉菓機」より創業が古いお店もある。あまり世の中に影響されない業界だけれど、個人経営のパン屋さんは流通の影響を受け、店を閉めざるを得ないところも段々と出て来たのだそう。その様子に心を痛め、パンの力の底上げになるように、とオープンしたのが「cram」。店頭に並べるパンは、まちのパン屋さんの意見を取り入れているものもあるのだとか。
「美味しいものは、口で感じるのではなくて心で感じてほしい。ちょっと特別な食事をするときに、パンを食べる時間も楽しんでほしいし、そういうときに『cram』のパンが登場してほしい」と一泰さん。お客さんが自分のお店の新商品の開発を、「cram」の厨房で行うこともあるのだそう。「そういったことが一緒に出来る空間を作るのも『cram』の役割やな。家族で経営しているような、まちのパン屋さんは朝早くから、夜遅くまで大変や。みんながパンを作ってくれているところに自分たちが情報を持って行く。それが自分たちの役割でもあるんよ」と崇史さん。
「大倉菓機」と「cram」は、これからもずっと、まちのお店と共に歩み続けていく。
住所 | 別府市船小路町3-30 |
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営業時間 | 7:00〜19:00(無くなり次第終了) |
休日 | 火曜 |
電話番号 | 0977-22-4141 |
駐車場 | 12台 |
オススメ 商品 | ベリーショコラ 260円 |