上人ヶ浜の一角にある「別府海浜砂湯」は賑わっていた。受付で「たくさん汗が出るから、水分をとっておいたほうが良いですよ」と教えてもらい、順番を待つ間に水を飲みながら、外にある足湯に浸かる。目の前に広がる海を眺められる足湯は、無料とは思えないくらい贅沢な気分が味わえた。
順番が呼ばれ、専用浴衣に着替えて砂の上に横たわると、砂掛けさんが、足から始まり、全身、首周りまでしっかりと砂を掛けてくれた。温かい砂に包まれながら目を閉じると、血液の巡りが良くなっていることを感じる。砂の重みと、頬を撫でる潮風のあまりの心地良さにうとうとしてしまい、砂掛けさんが砂を均す音が、まるでどこか遠いところから聞こえているかのよう。
「15分経ちましたよ」砂掛けさんの声に少しずつ体を起こすと、体に溜まっていた老廃物が流れ出たかのように体が軽くなり、たっぷりと汗をかいていた。

