地域に愛され続ける焼肉屋さん

別府駅から5分ほどの距離にある延命地蔵と呼ばれるお地蔵様の隣、お店から外に流れ出てくる煙と香りに、つい足を止めた。昭和の焼肉屋さんといった店構えの「一力」は「家族で焼肉といえば一力」という人もいるほど、地域に親しまれているそうだ。

丁寧に吹き上げられたカウンター席に腰を下ろし、牛肉の塊から手作業で肉がスライスされる様子を眺めていると、カウンターの中からおばちゃんが「どちらから?」と、話しかけてくれた。小さなガスロースターを使ってマイペースに焼肉を楽しめるので、1人で食事をする女性も多いそうだ。開店直後の17時くらいだと比較的店も空いていておすすめだと教えてくれた。

 


約40年前にお父さんが始めた「一力」は、現在2人の息子さんを中心に店を繁盛させている。開店当初は店の上に住んでいたそうだが、2階は40名までの宴会もできる座敷にしたと、弟さんが教えてくれた。小さな頃から店の手伝いをして「あれもやっといて、これもな!って、いつの間にか俺の仕事になってることがいっぱいで…」と、自然と仕事を覚えたそうで、センマイにつける酢味噌を作る手際も慣れた様子だった。
細かいサシが入った極上ロースをさっとあぶり、タレにつけて口に運ぶと、脂身の甘みが口の中でじんわり広がる。創業から変わらない味を守っているという秘伝のタレは肉の旨さを引き出すために、フルーツをふんだんに使っているそうだ。
お会計していた家族連れのお母さんが「うちの息子は普段は食べないのに、ここのキムチだけはおかわりするくらい好きなの」と、すすめてくれたキムチは、ごはんがすすむ味つけで、なくなる都度漬けているという。防腐剤を使用していないキムチは、すぐに食べるのであれば持ち帰りもできるそうだ。

 


「いい肉を安く出して喜んでもらう、その代わり店の中は昔のまんまだけどね」と店内を見回す弟さん。開店当時とほとんど変えていないという手頃な値段で、豊後牛を中心に吟味された肉を食べられる「一力」は県外の常連客も多いそうだ。東京から旅行で来たという家族は、「以前食べた豊後牛の味が忘れられなくて」と、座敷でなごやかに食事していた。古いながらも清潔な店内で1人でも家族連れでも焼肉を楽しめるお店だ。

一力

イチリキ

住所別府市駅前本町6-37
営業時間17:00〜24:00
休日木曜
電話番号0977-24-6783
駐車場12台
オススメ
商品
極上ロース 1,300円