壁のいたる所に貼り付けられたお品書きと、天井から吊るされたにんにくの数に驚いていたら、「ウチはにんにく料理の店だから。スタミナ料理ね。健康重視なの」と、マスターはとびきりの笑顔で言う。薬食同源の考え方で、ビタミンやたんぱく質、にんにく、ねぎ類をバランス良く提供し、お客さんの体調や年代にあわせて、その人の体に必要なものが食べられるよう料理を考えるのだそうだ。若い子は豆腐サラダとか喜ぶかなと思って出したりね、と隣で片付けをしていたママも会話に加わる。


2 人は自宅でも野菜を中心に、にんにくや唐辛子を毎日食べているそう。疲れがひどいときには、朝鮮人参や豚肉、蜂蜜を食事に加えると元気が出るという。
胃がもたれることが多いと話すと、出てきたのは水キムチ。「大根と一緒に汁まで食べたら元気になるよ」という言葉を受け、残さず食べると、数分後には胃が温まってくるのを感じた。冷たいものばかり口にしていると、体が冷えて胃の動きも悪くなるからと、体の調子を整える料理を出してくれるのがありがたい。
「本場の味を再現しても、その国、その国に食べ慣れた味があるからね、100%再現しても、食が進まないの。だから日本人の舌に合わせなきゃ駄目だね」と、にんにくを使用した本格的な韓国料理は辛さはそのままにし、しかし、日本人が美味しく食べられるように工夫しているそうだ。


「毎日楽しまなきゃ」と言うマスターとママに、元気とパワーの秘密を聞くと「食生活が充実してると、元気でいられるのよ。忙しくても、ゆっくりコーヒーを淹れて、素敵な音楽を聴く。こういう時間が大切なのよ」と教えてくれた。