鶴見山のふもとにある堀田地区は、その恩恵を受け湧水や良質の温泉が湧き、豊富な温泉は市内のあちらこちらへ給湯されている。江戸時代に湯治場として開かれ、湯布院や日田、太宰府へ通じるため、旅の疲れを癒す大切な場所として栄えたそう。そんな堀田にある「白糸の瀧」は市営「堀田温泉」の奥を進み、山の方向へ向かうと見えてくる。繊細な白糸を紡ぐように見えることから名付けられたというその姿は美しく、登り龍の姿が見えるという人もいるとか。
今回のお目当てはその目の前にある「白糸の滝温泉」。入口で挨拶をすると、お母さんが掃除の手を止めて出迎えてくれた。この温泉を始めた、佐藤百合さんだ。「毎朝、お風呂掃除だけは気合を入れてるんよ」と案内してくれた棟には景色が良い家族風呂が3室あった。温泉はすべて自家源泉掛け流しで、温度調節に湧き水を使っているという。
湯船は1枚岩をくりぬいたもので、手触りが心地良い。硫黄泉だがそれほど香りが強くなく、時間によっては多くの湯の花が舞い「お湯が良い」と多くの常連さんが通う。「ひいじいちゃんが、どっか切ったら『湯に浸けろ』って言ったんよ。昔の人は何の気なしに言ってたんやろうけど、ここに入ると傷の治りが早いって言われるんやわ。もしかしたら温泉だけじゃなくて湧き水のおかげかもしれんけどね」百合さんはコロコロと笑い、話を続ける。「お嫁に来たころ、下にある堀田温泉は混浴でね。今みたいに綺麗になる前だから、つい10年くらい前までの話やわ。初めは恥ずかしくてなかなか行けんかったんよ。」ずっと堀田の温泉に入り続けている百合さんの肌はぴかぴかしている。
たくさんの笑顔と良いお湯をいただいて、芯から温まった身体を風で冷ましながら海の見える坂を下る。