別府の清島


別府駅から徒歩15分ほどの住宅地の一角で出会った「清島アパート」。戦後間もなく建てられたというこのアパートは、アーティストたちの生活と作品制作・公開の場所。2009年に行われた別府現代芸術フェスティバル2009「混浴温泉世界」の「わくわく混浴アパートメント」という企画がきっかけなのだそう。

 

 

 

「たくさんのアーティストが集まる場所として企画されたんです。事務局が会場を探している最中、取り壊しも考えていたこのアパートにめぐり合ったそうです。大家の石丸麗子さんは、人が集まって何かをするということに不安になりつつも、『若い人たちがすることに協力出来るのなら』と承諾してくれました」。そう話してくれた清島アパートに居住するアーティストの勝さんは、「わくわく混浴アパートメント」の参加者でもあった。

 

 

「ピーク時には1日40人以上のアーティストがいて、最終的には132組のアーティストが集まりました。大家の石丸さんも、賑やかなアパートの様子を喜んでくれました。出会ったころは杖をついていた石丸さんが、会期半ばには自分の足で歩いて来るのを見たときは本当にうれしかった」。勝さんは、もっと表現を磨くため、地域の子どもやおじちゃんたちに作品を見てもらいたいと、会期終了後に元通りにして返すはずだった清島アパートに「終了後も住みます」と言ったのだそう。

別府を離れて全国で活動する仲間と地元の人との交流も続いているのだとか。話を伺っている途中、近所のおじさんがふらりと訪れた。しばし談笑して、「また来るわ」と去って行く。「メディアで清島アパートのことを知って、昔ここに住んでいた人が訪れることもあったんです。清島の今と昔、時代を超えて会話出来ることがすごくうれしかった」

 

 

2010年以降は、毎年公募制で8組のアーティストを募る形となった。「一緒に住んでいるから、作品を通じた繋がりだけじゃない連帯感も生まれてくるのかもしれない。個人の活動も尊重している」と、勝さん。このまちで、人と関わって、作品を作ること。そんなやりがいを感じる人たちが一緒の場所に住んでいる。目的に向かう気持ちの共有を、頭で考えるのではなくて自然と体で感じられているという。「『別府にある清島アパート』という場所の力がそうさせているのかもしれない」。生き物のように進化を続ける清島アパートの魅力は、これからも一層輝いていく。

 

《2016年度の清島アパート入居者》

 

<アートホーリーメン arthorymen>

 

<飯島剛哉>

 

<大平由香理>

 

<小野峰靖>

 

<勝 正光>

 

<関川航平>

 

<旅する服屋さん メイドイン>

 

<中野莉菜>

清島アパート

キヨシマアパート

住所別府市末広町2-27
営業時間オープンアトリエあり
※詳細はNPO法人BEPPU PROJECT(0977-22-3560)にお問い合わせください。
駐車場なし