三ツ星親子のレストラン

鬼山地獄からみゆき坂を下っていき、それがいでゆ坂に変わる交差点の角。洋食屋さんでありながら、鉄輪の渋い温泉街風情にしっくりと馴染んでいるお店をみつけた。

 


中に入ると、壁にエスコフィエの称号を始め数々の証明書が飾ってある。シェフの大塚正明さんは、各国で料理の腕を磨き、鉄輪のホテルで料理長を務めた後、今から22年前にこの店をオープンさせた。シェフの腕が「三ツ星」という意味なのかと思ったら、「うちは家族3人。3人揃って三ツ星なんですよ」と、奥さんの尚子さん。笑顔がとても優しい。

 


厨房の中で、シェフと並んで料理をしているのは息子の章弘さん。「息子には他の職業を勧めたんですが、やっぱり料理人になりたかったみたい。この店を始めたとき、この子は小学校6年生で、私たちが忙しいのでその頃から上手に料理を作ってくれていました」。尚子さんから家族のエピソードを聞いていると、店内がどんどん温かい空気に満ちていく。

 


メニューは、シェフが腕によりをかけるフレンチのフルコースから定番洋食まであり、普段の夕食に、記念日のディナーに、旅先での晩御飯にとやって来る、さまざまなお客さんがいるようだ。「1人旅のお客さんも多いですし、外国人のお客さんもいます」と話をしている横で、ワイン片手にディナーの真っ最中なのは、地元に住む常連さんだった。ランチタイムにしか食べられない、デミグラスライスのオムライスも人気だ。季節ごとに変わるスープを楽しみにしている人もいる。特に毎年7月頃の1週間だけ登場するという幻の「桃のスープ」を狙って来る人もいるという。

 


ずいぶん迷ってから、昼も夜も食べられる、おすすめの特製黒毛和牛ハンバーグを注文。よく煮込んだデミグラスソースがたっぷりかかっていて、覗き込むと顔が映りそうなくらい照り輝いている。主役のハンバーグを覆い隠すように盛り付けられているガロ煮という添え野菜は鉄輪らしく、温泉の蒸気で蒸しているという。フルーツを添えたサラダも付いていて、たくさんの野菜が食べられるのはうれしい。シャキッとした野菜とふっくらしたハンバーグを交互に頬張りながら、店の中を見まわすと、どのテーブルでも笑顔が弾けていた。
「心のごちそうにも、体のごちそうにもなるように」と願いながら、三ツ星親子は今日も明日も明後日も、いろいろな人を笑顔にしてくれる。

 

レストラン三つ星

レストラン ミツボシ

住所別府市鉄輪284(みゆき坂)
営業時間11:00〜15:00 (LO14:00) /17:00〜LO21:00
休日火曜※祝日の場合は営業
電話番号0977-67-3536
駐車場10台
オススメ
商品
三ツ星特製黒毛和牛ハンバーグ 1620円