クミンシードは、いちばん最初に炒める肝心要のスパイスです

木製の扉を開くと、エキゾチックなお香とスパイスの香りに包まれた。ここが別府であることを忘れてしまいそうな、異国情緒たっぷりの店内。テーブルにつき、知らない国の少女が踊る姿が描かれた、絵本のようなメニュー表を開くと、カレーの世界へ誘われる。

 

 

大分で、いわゆる「家庭のカレー」ではない「本場のカレー」が食べられる店が流行り始めた頃、まもなくオープンした人気のカレー店。もうすぐ30周年を迎える店は、椅子以外、かわいいメニュー表も全部、器用なマスターの手作りだそうだ。この店と同様に、隅々にまで愛情が込められた「クミンシード」のカレーにはファンが多い。

 

 

カレーといえば、注文するとすぐに出てきてサッと食べられるというイメージを持つ人は多いだろう。そんなイメージに反して、この店のカレーはゆっくりと提供される。あらかじめ仕込みをしておいた材料で、1人分ずつ作ってくれるのだ。「お出しするまでに時間がかかるので、混み合う時間帯にはずいぶんお待たせしてしまうこともあります。特に、タイカレーは手間暇がかかるので申し訳なくて、最近、メニューから外してしまいました」。丁寧に作ったものを食べてもらいたい、そして食べてくれる人を待たせたくない。どちらの思いも、馴染みのお客さんにはよく伝わっている。

 

 

定番はチキンカレーで、鶏の手羽元はスプーンで押しただけでホロホロと身がほぐれるやわらかさ。ベジタブルカレーも、野菜がたっぷり摂れると評判だ。ベースにはたっぷりのタマネギも使っているそうで、スパイスの風味はしっかりとありながら、甘みも感じるカレーだ。どちらも黄色いターメリックライスでいただく。
「カレーは健康によく、ダイエット向きの食べ物です。ガラムマサラを作るスパイスの1つひとつに効能があって、代謝を高めてくれますからね」。均整のとれたスタイルのいいマスターが言うと、説得力がある。確かに、食べ進めていると額にじんわりと汗が浮かんできた。ちなみに、マスターは忙しい合間を縫って、ストイックにランニングも続けているらしい。

 

 

店の名前にもなっているクミンシードは、基本のスパイス。「ギーと呼ばれる油に香りをつけるため、いちばん最初に炒める肝心要のスパイスです。炒めていると、カレーらしい香りが立ってきます」。チキンカレーのプレートには、素のフェンネルが数粒添えられていた。消化を助けてくれるという。1粒噛んでみると、風が吹いてくるみたいにスーッと爽やかな感じがした。

 

クミンシード

クミンシード

住所別府市石垣東10-1-1
営業時間11:30-14:30/17:30−LO22:30、日曜〜22:00
休日月曜※祝日の場合は営業、翌日休み
電話番号0977-21-8037
駐車場4台
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商品
チキンカレー 950円