うどんと職人ワンマンショー

別府大学から国道10号へ下る途中、最初の信号を右に曲がったところに、カウンター7席のみの小さなうどん屋さんがある。寿司屋や小料理屋のような趣の店は、日高さんが1人で切り盛りしている。

「その動き、止まるんですか?」と思わず声をかけてしまったほど、日高さんはカウンターの左から右へ、右から左へ、うしろを向いたり前を向いたり、ひとときもじっとしていない。まるで、性能のいい機械を見ているように正確で滑らかな仕事ぶりは美しく、ワンマンショーを見ている気分になった。

 

 

線は細いがよく働く日高さんは、長年うどんの専門店に勤めたあと、2011年の秋に独立してこの店を持った。寡黙で、うどんは好きかと尋ねられれば「普通です」とぽつり。最初に就いた職業がたまたまうどん屋で、そのまま職人になったのだというが、こだわりは並大抵じゃない様子。手打ちの麺は、3〜4日寝かせたものを湯がく。寝かせる時間は時季によって調整しているのだそう。「エイジングしたお肉と一緒で、麺も打ち立てより寝かせたほうが味がよくなります」。一般的なうどんに比べて細い麺を貫いていたが、最近「食べ応えとモチモチ感があったらいいなあ」と太麺もスタート。「注文を取るときに、細麺がいいか太麺がいいかお客さんに聞くんですが、普通でいいですと言われることが多くて。うちは普通が細麺。じゃなければ太麺なんです」と、職人気質もちらっとのぞかせる。だしはイリコとシイタケから取り、合わせる調味料も吟味しているという。「究極は、自給自足のうどんなんです。使う素材をすべて自前で賄いたい。でも、それには無理があるので納得のいくものだけを使っています」。

 

 

14種類ほどあるメニューはどれも丁寧に、手間暇かけて作られているうえに良心的な価格だ。たとえば「ごぼう天うどん」は500円。ハーフサイズは量も値段もきっちり半分の250円。これなら学生さんも毎日食べに来られるし、近所のおじいちゃんおばあちゃんも、サラリーマンも、子ども連れのお母さんも通いやすいだろう。トッピングを追加したり、数種類のハーフサイズを組み合わせたり、自分好みにカスタムできるのもうれしい。カツ丼を頼んでみたら、ふんわり上品なお酒の風味が香って、料亭の味がした。

 

 

旨い料理屋は店が綺麗だという話があるが、「ひだか」の店内はぴかぴかだ。「見せる造りにしたので、厨房も客席だと思って、掃除を習慣にしているんです」。そう言いながらも、ふきんを握った手は休まず動いている。

 

うどんひだか

ウドンヒダカ

住所別府市上人西3-1
営業時間11:30-14:00/18:00-20:00
休日金曜
電話番号0977-85-8217
駐車場3台
オススメ
商品
ごぼう天うどん+カツ丼ハーフサイズ 850円