「施設を譲り受けて10年が経とうとしています。湯山集落の“みょうばん小屋”からさらに“奥”にある“山荘”なので、語呂が良いよう並べ替えて『奥みょうばん山荘』と改名しました」。温泉の持つ可能性を具体的に形あるものにして事業に活かしたい」と語るオーナーは、全国の温泉を行脚する現役温泉マニア。自らのアイデアをコツコツと形にしながら、施設のリニューアルを継続中である。
受付棟で支払いを済ませてから、いざ、温泉へ。ロッジ風の建物に家族風呂が3室あり、2室は内湯のみで、いちばん左の1室だけは広々とした露天風呂も付いている。せっかくなら露天風呂付きの部屋に入りたい。先に到着したご夫婦が入浴中だったので、しばらく受付棟の休憩所で待たせてもらうことに。その間、温泉についていろいろと教えてもらった。
「うちでは毎日いったんお湯を捨てて、新しいお湯を注ぎ直します。炭酸飲料に例えるなら、注ぎっぱなしのお湯は気の抜けた炭酸。新しいお湯は気の抜けていないガツンとパンチのある炭酸のようなもの。1日1日、成分が濃厚なフレッシュな温泉に浸かっていただけます」白濁するのは、お湯の中で湯の花が咲いているから。ただし、この湯の花はさまざまな気象条件に左右されるもので、日によって色が薄かったり濃かったりするという。「外気温とお湯の温度の関係なんです。単純に言うと夏は湯の花が少なめで透明に近くて、冬は多めなので白濁します。だけどいろんな条件が関係しているので、来るたびに色が違うはず。そんなお湯との出合いも楽しみにしていただけたら」
そうこうしていたら、露天風呂が空いたようだ。対面したお湯の色はというと、少し薄め。湯船を底からかき混ぜると、沈んでいた湯の花が舞い上がってふわっと白く色づいた。光の加減か、うっすらと青みを帯びているような気もして、お湯との「出合い」を実感する。この日にしか出合えないお湯だと思うと愛おしく、あごが浸かるほど深くお湯に身を沈める。と、視線の先に白いお湯の通り道が見えた。お湯の成分がしっかりとしみ込んでいるのだ。
湯あがりの肌はサラッとして気持ち良く、自分の肌を何度もなでたくなるほど。受付棟に戻って、汗が引くまでしばらく休憩させてもらった。冬は暖炉で温まることもできるらしい。部屋を見渡すと、DIYの道具であふれているが、それは雑然としているのではなく、オーナーの愛情の賜物だ。「隠すものは何もありません。運営の舞台裏を見せることは、説明なく温泉文化を伝えられる機会です。趣味を実業にと考えている方には良い部分と悪い部分とが見えるでしょうし参考にしてもらいたい。ここは、未完成の私の作品のひとつで、今後も時間とともに変化します」。
※定休日以外に不定休あり。ホームページで要確認 http://okumyouban.kakurezato.com/
住所 | 別府市湯山1組 |
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営業時間 | 10:00-20:00 |
休日 | 水曜※祝日の場合は営業、不定休あり |
電話番号 | 0977-67-2229 |
駐車場 | 10台 |
オススメ 商品 | 入浴料 1人500円(60分) |