ワインレッドの椅子に身をゆだねて

竹細工の丸い照明が、まるで惑星のように並んで浮かび、ノスタルジックにアーケードを照らしている。竹瓦温泉から流川通りに向かって続く細いアーケード街「竹瓦小路」に、ワインファンが愛してやまない店がある。ドアに飾られたコルクのリースと、足元に並ぶたくさんのワインボトルが「Enfer」の目印だ。

 

 

「うちで扱っているのは、ヴァン・ナチュールと呼ばれる自然派ワインだけ。有機栽培のぶどうを使いながら、昔ながらの醸造方法でありのままに作られた無添加のワイン。つくり手の情熱が感じられるワインのことなんですよ」。状態がいいものを集めようと思った結果、マスターのお眼鏡に叶ったのが自然派ワインだったらしい。「仕入れたワインを飲んでみて状態が良くないと判断すれば、インポーターに文句を言う」と、妥協は決してしない。自然派ワインの本場であるフランス産を主に、イタリア、ジョージア、トルコ、南アフリカ、アルゼンチン、チリのほか、珍しいイスラエル産まで、世界各国のものが揃っていて、どれもグラスで提供している。「自分が飲みたいワインばかり。それをおすそわけしたいという気持ちでやっています」

 

 

この店にはメニューがない。それは、マスターに全幅の信頼を置いていいという証だ。慣れた人や常連さんは、席に着くなり「おまかせ」と言う。初めてだったり、何を注文していいかわからないときは、好みを伝えてみたり、マスターとの会話から始めればいい。
マスターは「コニャックの醸造で有名なポールジローが作った、ノンアルコールのスパークリングワインを飲んでみますか?」と、こだわり抜いたノンアルコールドリンクも用意されており、お酒が飲めない人や、運転しなければいけない人も十分に楽しませてくれる。

 

 

別府市内の飲食店から届く自然派のフードや、「魚料理でも肉料理でも、作れるものはお作りしますよ」とマスターが手早く作ってくれるおつまみなど、訪れる日によってワインのお供はいろいろ。
中折れ帽がトレードマークのマスター、楢本 司さんは、ワインだけではなくいろんなことに凝り性で、趣味をあげれば自転車、車、家具、音楽と、枚挙にいとまがない。そんな多趣味なマスターからの知識のおすそわけも、ワインにぴったりのアテになる。または、他愛もない話に明け暮れることも。ハーマンミラーの、イームズがデザインしたワインレッドの椅子に身を委ねて、ただただ心地よい時間が過ぎていく。

 

Pure Wine Bar Enfer

ピュア ワインバー アンフェ

住所別府市元町15-5
営業時間19:00-深夜0:00
休日不定
電話番号090-8404-5989
駐車場なし
オススメ
商品
グラスワイン 800円〜