気さくな大将と向かい合って

キリッとした門構えに、老舗の風情が漂う。西方寺通りにある「大和田鮨」に入ると、女性の店員さんと大将が笑顔で迎えてくれた。「いらっしゃいませ!」寿司屋に入るときは、いつもちょっとだけ緊張するけれど、このお店にはどこかほっとする温かさがあった。カウンターに腰掛けて、「おまかせにぎり」を注文する。「はいよ!」大将が目の前で素早く準備を始めた。

 

 

ネタを切り、寿司飯を手にとって握る姿は、まるで踊っているかのよう。そんな中でも話が止まることはない。「お店は1977年からだね。昔からのお客さんも多くてね。この間、新婚旅行でお店に来てくれた夫婦がいて、聞いてみたらご両親にすすめられたって言うんだよ。別府に行くなら、大和田鮨に行きなさいって。どうやらご両親も、新婚旅行でここに来てくれていたらしいんだ。2代続けて来てくれるなんて、うれしい話だよね」。

 

 

話しながら、大将はのれんの向こうに消えていった。だんだんと声も遠くなる。耳を澄ませていると、今度は逆側ののれんから出てきた。カウンターの中は大将の舞台のようだ。
カウンター席の後ろと2階は個室になっていた。「この個室、普通とちょっと違うところがあるんだよ。どこだと思う?」。少し考えていると、「個室の座敷が普通より少し高いんだよ。そうすると、カウンターに座る人と目線が同じになるんだ」。大将のきめ細やかや心配りは、トイレにも表れていた。「うちは車イスの方もよく来るんだけど、昔食べている途中に急に帰られた方がいてね。理由は言わなかったけれど、その時の様子からトイレだったんだ、と後からわかってね」大将は悔しさをにじませた。「ごめんな、と。満足にトイレも行けない店なんて、と思って改修したんだ」
おまちどう、と「おまかせにぎり」が運ばれてきた。ひとつひとつゆっくりと味わう寿司はどれも優しくて大将の気持ちが込められているようだった。

 

大和田鮨

オオワダズシ

住所別府市北浜1-1-3
営業時間12:00〜14:00 / 16:00〜21:00
休日月曜
電話番号0977-21-0263
駐車場8台
オススメ
商品
おまかせにぎり 3,240円、地魚にぎり 3,240円