目の前で揚げられる黄金色のカツレツのサックリした衣にデミグラスソースをトロリとかけるシェフの手元から目が放せない。すました顔でメニューを覗きながら、シェフに「それは何?」と尋ね「では、それを」。実は見た瞬間に注文は決まっていた。それでも洋風の料理が並ぶメニューを眺めるのが楽しくてあれこれ悩んでみたくなる。昭和28年の開店当時、洋食を食べに出かけるのはハレの日にというお客さんが多く、目の前でできあがる料理にみんな目を輝かせていたという。キッチンの中から客席の隅々まで目を配り、使い慣れないナイフとフォークでカツレツを食べづらそうにしているお客さんには、食べやすい大きさに切って出してくれる親しみやすい洋食屋さん。
親しみやすさの一方、食に対して厳しいところもあったというおじいちゃんの話を、孫の山本さんが聞かせてくれた。「こう食べてもらいたいって気持ちが強かったんでしょうね。カツレツをソースや醤油で食べたいって言うお客さんに、『そんならほかの店に行ってくれ』って、キツイこと言ってたな」。吟味を重ねた食材を使って手間を惜しまずに調理した料理を味わってほしいというおじいちゃんのお店には、その味に惚れ込んだお客さんが長く通ってくれるという。
山本さんは、おじいちゃん、お父さんの後を追うように料理の道に入った。外の世界を経験することで改めて「グリルみつば」の味について考えたそうだ。古い時代の良いものは変えずに残しつつ修行で磨いた腕を振るう。創業以来、地元のお店と付き合いを続けていたり、冷凍庫が普及していなかった時代と同じように、地元の新鮮な野菜や肉を仕入れて、全てを料理に使いきる。「手間も時間もかかるけど、スタイルを変えない。頑固なところも継いじゃいました」と山本さん。おじいちゃんの味を変えることなく守り続けるお店には、「昔の洋食が食べたい」というお客さんが多く訪れる。そんなお客さんを店先に飾られたおじいちゃんとお父さんの笑顔の写真が迎えている。
住所 | 別府市北浜1-4-31 |
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営業時間 | 11:30〜14:00(LO13:30) / 18:00〜21:00(LO20:00) |
休日 | 火曜 |
電話番号 | 0977-23-2887 |
駐車場 | 3台 |
オススメ 商品 | ビーフカツ 1,700円 |