「大黒屋」の庭には、「地獄釜」と呼ばれる釜がいくつも並べられていた。これは温泉の泉源から噴出する高温の蒸気を利用したかまどであり、鉄輪の人の生活の一部になっている。「ポテトサラダとかおでんとか、いろんな料理に釜を使うのよ。まだ道がコンクリートや石じゃなかったころは、子どもたちが地面を棒で掘って蒸気を出して、サツマイモを埋めていたんですって」遊び疲れたころ、黄金色に蒸されたサツマイモをみんなでほおばっていたのだろう。地獄釜をつかって蒸気で蒸された「地獄蒸し」は、素材の旨味が凝縮されていて、そのまま食べてもとても美味しかった。「孫がたまに食べるおやつは、手羽先の地獄蒸しなのよ」と、安波さん。
敷地内は、場所によっては下に温泉管が通っているそうで、立っていると足裏がじんわりと温かくなっていくのを感じる。「冬になると、猫がずらっとここで寝転ぶのよ」。見渡すと、あちらこちらから蒸気が噴き出している。その様子が幻想的で、圧倒的で、自分がどこにいるのかだんだんわからなくなってくる。遠くから聞こえるバイクの音に、はっとした。「鉄輪は、異次元な場所。時間の流れも違うし、心が癒される場所だと思う」鉄輪は、猫にとっても人にとっても、天国なのかもしれない。
住所 | 別府市鉄輪上 3 |
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休日 | なし |
電話番号 | 0977-66-2301 |
オススメ 商品 | 1泊3,300円〜(食事なし) / 7,400円〜(地獄蒸し付) |