「焼きたてを食べてほしくて、毎日いくつもの種類を少しずつ焼いているのよ。流行のケーキやパンではないですけどね」と言う、美奈子さんのおすすめは、チーズメロン。店内にイートスペースは無いけれど、「どうぞ」という言葉に甘え、その場でいただくことにした。メロンパンのほどよい甘さとクリームチーズの塩気が絶妙なチーズメロンは、十数年前から店を手伝い始めたという息子さんが考案した商品らしくお客さんにも人気があるのだとか。父のメロンパンに息子のアイデアを掛けあわせた新作パンは、懐かしさを残しながら新しい味がする。
ご主人の昭行さんは厨房でアップルパイを焼いていた。「あれは予約制で、ほとんど店頭には出していないんですよ。できたてを食べてほしくてね。でも、今日は1つ余分に焼いたから、お店に出すつもり」と美奈子さん。昔から変わらぬ製法で作り続けているアップルパイは、要望に応じてカット売りもしてくれるという。
話を聞けば聞くほど、あれもこれも食べたくなる。どれにしようかと迷いながらお店の中を見回すと、窓にはブラインドが、ショーケースには陽射し避けの包装紙がかけられている。きっと日差しが強いのだろう。しかし、昭行さんは「悪く考えれば陽が当たってしまうとなるけれど、良く考えれば毎日朝陽を浴びることができる。元気になるでしょ」と明るい答え。「人生もいいことばかりじゃない。苦しいときもある。だけど、怒っても笑っても時間は同じように過ぎるんだから。私はできるだけいろんな人と話すことを心がけているんです。買い物に行ったスーパーの店員さんとかね。そうやって挨拶や会話をしたほうが、気持ちいいでしょう」と言う、その顔も素敵だ。
昭行さんは埼玉県生まれ。鎌倉や東京の洋菓子店で経験を積み、お師匠さんの紹介で大分市に自分の店を構えたのが50年前のことだという。最初は洋菓子店のみの店だったが、パンの修業をして亀川に店を移した。その後、同じく亀川の住宅街にある現在の店舗に移転して、25年が経ったのだという。学校も幼稚園も近いので、小さな子どもから高校生まで「おいちゃーん」と声をかけ、昭行さんと店先でお喋りすることもあるのだとか。お話を聞いている間にも、パンを買いに来た女性がレジで楽しげにお喋りして帰っていった。会話も美味しさのひとつ。人との繋がりを大事にしている『一不二』ならではの、変わらない味の理由はここにある。
昭行さんの手のひらは、小柄な体格の割には大きくて堂々としている。この手が作ったたくさんの『美味しさ』を、今日もまたお客さんが花形トレイに乗せていく。
住所 | 別府市亀川浜田町32組 |
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営業時間 | 7:00-19:00 |
休日 | 月曜 |
電話番号 | 0977-66-0383 |
駐車場 | なし |
オススメ 商品 | チーズメロン 100円 アップルパイ (ホール)1500円 (カット)190円 ※全て税込価格 |