縁の下のランチ

気のおけない友人と、ゆっくりおしゃべりしながらランチを楽しむなら、『カフェ サ・サン・ボン』がいい。

きっと同じように思っている人が多いから、いつも開店と同時に入り口にはウェィティングの列ができている。店内に入れば、大きな窓の向こうにハーブ庭園が広がり、木々の合間から日差しが差し込む、明るくて開放的な空間だ。

 

 

厨房前のショーケースには、大きな器に作られたティラミスや、花びらのようにうすくスライスされたりんごが並ぶアップルパイ、淡い色でふわりとしたチーズケーキやプリンなどのデザートが並び、後ろには、大きなエスプレッソマシンがある。

ランチはセットになっており、グリル、パスタ、サンドイッチ、オーブン料理からメインが1品選べる。土曜日と祝日はランチプレートというメニューも追加されるそうだ。

 

 

これを目当てに来るお客さんもいるというランチセットのサラダは、彩りがよくボリュームがある。日によって内容は変わるそうだが、この日はスモークチキンとポーチドエッグのサラダだった。スライスしたごぼうもパリッと揚がっており食感がいい。サラダに合わせて作るというドレッシングは、アンチョビの塩気がアクセントになっていた。

 

 

季節によって替わるスープはカボチャのポタージュで、ほっこりと甘く、気分が落ち着く。メインに選んだ豚肉のグリルも、焼き具合が良く、重厚感がありながらも粒マスタードのソースで軽やかに味わうことができた。パスタを選んだ友人のペペロンチーノにはバジルのソースが添えられており、彩りも爽やか。皿に残ったソースをパンに染みこませ、最後まで美味しくいただいた。

 

 

「料理に合わせて市内のパン屋さんに頼んで作ってもらっているんです」と教えてくれたのはオーナーの挾間崇光さん。大分香りの博物館オープン当初からこの場所に店を開き、数人のスタッフとともに運営している。初めはお兄さんと2人で経営していたそうだが、今は市場の仕入れから、ランチやデザートの仕込みまで、全て挾間さんが1人でやっているという。今は大分市にご自身の店を出しているというお兄さんに、料理について相談することもあるのだそうだ。不思議に思ったのが、日曜日が定休日だということ。その理由を訊ねると「普段は仕入れや仕込みで朝早くから家に居ないんです。子どもが小学校へ上がったのを機に定休日を変えました」。また、料理についても「リピートのお客さんが多いので、メニューはだいたい2週間ごとに変えています。外食すると量が多かったり、味付けが濃くて、胃がもたれがちになりますが、そういうのではなくて、食べて元気になる料理を作りたいです」と話す。

 

 

実家も飲食店を経営しており、幼い頃から兄弟4人で手伝っていたという。学生時代にはカヌー部に所属し、身体を鍛えていたという挾間さんは、食事によって健やかで心豊かな時間が作れることを知っている。だから作る料理もただ美味しいだけではない。メイン料理はもちろん、サラダやスープ、ソースの細部まで手を抜かず、食べる人の喜びや健康を願って作っている。

普段は厨房に入りっきりで、言葉数も少なめの挾間さんだが、時おりカウンターから顔を覗かせ、お客さんたちの表情を見ていた。そんな挾間さんにつられるように周りを見回すと、テーブルを挟んで向かい合うお客さんたちはみんな笑顔で、穏やかな時間を過ごしているようだった。

挾間さんの作る料理は、この店に通うお客さんの優雅で美味しい午後を支えている。

 

 

 

Cafe SA SAN BON

カフェ サ サン ボン

住所別府市北石垣48-1
営業時間ランチタイム 11:15〜14:30 ※ランチはなくなり次第終了/ティータイム 14:30〜18:00

休日日曜日
電話番号0977-27-7770
駐車場30台 ※大分香りの博物館に準ずる
オススメ
商品
グリルランチ 1200円 サンドウイッチランチ 950円 テイクアウト用のサラダ 390円 アップルパイ 400円