温泉の横にはお薬師さまが祀られている。ここのお薬師さまは格子戸の向こうにいて、姿が見えない。今日はよろしくお願いします、と心の中でつぶやいて手を合わせる。
番台の上に掲げてある「九日天温泉の沿革」を読んでみると、20年に1度くらい温泉を掘り下げているようだ。『九日天温泉』の管理をしている、自治会長の竹田 明さんにお話を伺う。
「温泉を通す管やタンクは定期的にメンテナンスしてるんやけど、パイプ自体が老朽化してしまうと、地下水が流れ込んでぬるくなってしまうんですよ。だから20年に1度は工事しているんです」とのこと。
「最近は若い人が減ったね。みんな家でお風呂に入っちゃう。でも温泉のほうが安いし、効能もある。ぜひ入ってほしい」と寂しそうに語る。地域の人が集まる温泉は湯温が高いイメージもあるが、「お湯が熱いときは遠慮なく水を出していいんだよ。誰も怒ったりしないよ」と朗らかに笑う竹田さん。この温泉なら、のんびり入れそうだ。
思わず長話をした後、すれ違ったおばちゃんに挨拶すると、偶然にもお風呂セットを入れた袋が同じ柄だった。思わず「お揃いです!」と声をかけると、「ほんとやな。仲間や!」と大笑い。おばちゃんと出会って、温泉に入る前から和んでしまった。
ピンク色の天井と壁、温泉の成分で変色した床に期待が高まる。浴室と脱衣所がわかれているタイプだ。その昔ここは陸軍病院の敷地で、兵隊さんたちがリハビリのために浸かっていたのだという。かけ湯して湯船に入るとき、「泉質は間違いなくいい」と誇らしげに竹田さんが言っていたのを思い出した。トロっとした感触のなめらかなお湯はとても優しい。
今も昔も人々を癒し続けてきた『九日天温泉』。これから先もずっと変わらず、優しいお湯に楽しい人々が集まり、癒し癒されていくのだろう。
住所 | 大分県別府市上田の湯町15-8 |
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営業時間 | 6:00~11:00/14:00~23:00 |
休日 | 年1回 |
電話番号 | 0977-21-1304 |
駐車場 | 10台 |
その他 | 入浴料 1回 130円 |