幻のパンを求めて

 

高架下に八百屋、肉屋、惣菜屋など、さまざまなお店が軒を連ねる『べっぷ駅市場』。その一角にある『オニパンカフェ』は、開店と同時にお客さんが行列を作る人気のパン屋さんだ。入れ替わり立ち替わり、商店街を歩く老若男女が吸い込まれるようにお店に訪れている。個性豊かなパンたちは由布院にある本店で作られ、別府店に運び込まれる。

 


どれにしようかと迷う時間も楽しみの1つだ。あれこれ目移りしている間に、屋根の上を電車が通り過ぎていく。店内には大きな音が響き、窓ガラスもカタカタと揺れる。声が聞こえづらくなって、店員さんとの距離が自然と近くなるのもなんだかおもしろい。

 


「わ、よかった、残ってた!」と、棚に駆け寄って来たお客さんのお目当ては、フルーツがたくさん入ったパンだった。最後の1つを大事そうに手に取って、笑みを浮かべる。「この前は売り切れちゃってて」と、レジで店員さんに話かける顔は明るく、嬉しそうだった。パンを前にすると、人は笑顔になってしまう。それがお気に入りのパンならなおさらだろう。

 


「べっぷ駅市場にはお惣菜店も多く、お昼時になるとお弁当やランチを求めてやってくるお客さんが多いんです。それに合わせてお惣菜パンの種類が増えました」と教えてくれたのは、別府店店員の清家さん。清家さんイチオシのお惣菜パンは、自家製厚切りベーコンと新鮮野菜がもりもり入ったベーコンポテトフランスだ。

 


「野菜を抜いてパンとベーコンをオーブンで温めれば、さらにおいしさがアップするんですよ」と、勧められるうちに食べてみたくなって、イートインスペースでいただくことにした。香ばしいベーコンは、しっかり厚みもあり、噛みしめるほどに味が出る。シャキシャキの野菜とも相性抜群で、1つでも満足感が味わえる。

 


オニパンのコンセプトは「おいしく、質良く、低価格」。すべての商品に天然酵母を使用し、ジャム、あんこ、クリームなどは自家製なのだそう。エネルギーとアイデアが豊富なオーナーは、原材料からこだわり、なんでも自家製してしまう。その究極形ともいえる商品が、自家栽培した小麦から作る『ユメ食パン』だ。販売は日曜日限定、2~3斤しか店頭に並ばないので、オープンしたら即売り切れてしまう幻のパンなのだという。

新しい出会いを求めて、毎日でも通いたくなるオニパン。今度はどんなパンに出会えるんだろう。

オニパンカフェ 別府店

おにぱんかふぇ べっぷてん

住所別府市中央町5-26 べっぷ駅市場商店街
営業時間12:00~17:00
休日火曜日、水曜日 ※祝日は営業します
電話番号0977‐88-2690
駐車場別府駅市場の共同駐車場あり