時代を超えて愛されるレトロタオル

昭和28年創業の「別府タオル」では、懐かしさを覚える絵柄とリーズナブルな価格のレトロタオルが人気を集めている。別府の気軽なお土産として買い求める人も多く、テレビや雑誌で取りあげられることもしばしば。新聞紙サイズの大きなファイルに、大切に保管されている原画をめくりながら、イラストを1つひとつ説明してくれたのは、店主の大久保 健志さんだ。

 


「実はね、誰が描いたのかはわかならいんですよ。おそらく、昔のタオル工場の方だと思います。昭和30年代後半から40年代頃の図案だったと記憶していますが、ちょっとあやふやですね。昔は日本全国で、同じ絵柄のものがお土産として販売されていたんじゃないかなと思います。本当は古臭いし、もう作るのをやめようと思っていました。ちょうどそのとき、テレビか雑誌かの取材で取りあげられてね、『昭和っぽくていいですね』なんて意外と人気が出て続けることにしたんです」

 


当時のタオルは今に比べて薄く、染料もバリバリと固かったという。うまく染料が乗らず、模様が抜けることもあったそう。現在はタオルそのものの風合いが柔らかく厚みもあり、品質は格段に上がっている。

 


色や絵柄が少しずつ違うものもあるが、今も同じ版を元に商品を作っているという。販売中のレトロタオルは8種類で、それぞれ絵柄が異なるものの、商品名は付いていない。同じ絵柄でも「着物」「はいからさん」「サウスポー」など、人によって注目する点や印象的なポイントが違うために呼び方も異なるそうだ。

 


もう1つの定番は、藤柄に別府温泉と書かれた手ぬぐいだ。最近は、この手ぬぐいから作ったマスクが温泉好きや別府好きの人たちに好評なのだという。別府市民にはお馴染みのこの柄、大久保さんは子どもの頃にお父さんがデザインに試行錯誤していた様子を覚えているという。温泉マークを2つも描き入れているのを見て、当時は「2個もいらんやろ」と思ったそうだ。しかし、今はその2つの温泉マークがマスクを作るのに重宝していると言うからおもしろい。大久保さんは「あのとき1つにしなくてよかったな」と大きく笑った。

 


大学進学で上京し、そのまま東京で働いていた大久保さん。30歳で別府にUターンした当初は戻りたくないと思っていたそうだ。しかし温泉があり食べ物がおいしくて、ゆったり時間が流れる別府の生活は思いのほか快適で、すぐに居心地が良くなったという。生まれ育った別府で、65年以上続くこのお店で、今後はエコバッグなども作ってみたいと新商品の構想を抱いている。

別府タオル

べっぷたおる

住所別府市光町9−5
営業時間9:00~18:00
休日日曜日
電話番号0977-22-0902
駐車場1台
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商品
レトロタオル 380円