扉を開けると、そこはインドだった。明るすぎない照明にスパイスの香り。テレビ画面では大勢の美男美女がダンスをしている。壁には大きなインドの国旗や神様の絵、シルクの刺繍布。カラフルでキラキラした雰囲気は、インドそのものだ。
APU(立命館アジア太平洋大学)卒業生のバルティ・アフジャーさんが、この地でお店を開いたのは2005年。商店街活性化のため、そしてインド料理を日本に広げるために『AHUJA Restaurant』をオープンした。別府に住んで20年「住みやすくていいところよ」と笑顔だ。
料理長は父親のキシャン・ラール・アフジャーさん。はにかんだ笑顔で出迎えてくれるのが印象的。ニューデリーのインド料理店で修業を重ね、来日したという。
カレーの種類は、全部で18種類。チキンカレーとひとくちに言っても、バターチキンやマサラチキン、ほうれん草のチキンなど、少しずつ材料や味が異なる。3種類のだしベースがあり、そこにトマト、カシューナッツ、タマネギなどさまざまな原料が加えられる。さらに、だし同士を混ぜ合わせたり配分を変えたりして多種多様なカレーを創り出すという。
「質の良いスパイスや材料を使用し、本場の味にこだわっています。インド人が普段食べているものや、現地でよくあるメニューを提供しているので、日本人用にアレンジはしていません。インドではメジャーで日本では珍しい具材を出すことも多いですね」と、アフジャーさん。
サラダを口に含むと、スパイスの風味が押し寄せる。日本のドレッシングにはない、独特の清涼感だ。たまごやじゃがいもも添えられており、食べ応えがありながら、さっぱりとした箸休めにもなる。
「宗教や体質などありますから、辛さや具材などは要望に応じてアレンジしています。インドの料理はヘルシーで消化がよく、食べると体がポカポカするんですよ」
迷った末、本場と同じ辛さでカレーをオーダーすると、口に含んだ少し後からガツンと辛さが追いかけてくる。ただ辛いだけじゃない味わいが感じられて、食べる手が止まらない。
カレーに添えられたロティは、家庭版のナンと言われており、ナンよりも薄くあっさりしているのが特徴だ。
「地元の人も、県外からの人も、海外からのお客さんもよく来てくれて、世界中を旅したお客さんも、みんな本場の味と言ってくれます」裏話もはさみながら、いたずらっぽい笑顔で話してくれたバルティ・アフジャーさん。15年もお店が続いているのはリピーターのおかげだと語る。
汗が出る、水を飲む、カレーを食べて、サラダを口にする。聴こえてくるのはインド音楽。しばし食事に没頭してしまった。
何も考えずインドに染まるカレー時間は、何物にも代えがたい貴重な経験だ。
住所 | 大分県別府市元町8-4 銀座小野ビル1階 |
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営業時間 | ランチ 11:00~15:00 ディナー 17:00~22:00 |
休日 | 月曜日 |
電話番号 | 0977-21-5769 |
駐車場 | なし |