スリランカ語で「食べよう食べよう」、英語では「おいでおいで」、日本語では「噛む噛む」。3つの国の言葉がそれぞれあてはまるおもしろい店名『comecome(カムカム)』は、スリランカ家庭料理を楽しめる貴重なお店だ。
オーナーのスチッタ・グナセカラさんは別府大学卒業生で、人柄の良さを伝えるような柔和な笑みがまぶしい。同大学卒業生の妻であり店長のティリニ・ニサンサラさん、娘のオネキちゃんもお店に出る。
料理長のアソーカ・ニルミニさんは笑顔が優しい小柄な女性で、訪日中のスリランカ人たちのお母さん的な存在だという。働く人たちが笑顔にあふれ、優しい空気が流れている。
スパイスたっぷりのスリランカ料理は、辛さや刺激が強いばかりでなく、日本人にはあまり馴染みのない独特の味や香りがする。お店で使用する30種類ほどのスパイスの大半はスリランカからの輸入品。ご飯はバスマティライスか日本の米か、選べるそうだ。
1つのプレートでたくさんのおかずが楽しめる『カムカムカリー』は、混ぜ方で味が変わる人気の一皿。魚のコロッケやバナナの花など、食べたことのないおかずが盛られている。
これまで口にしたことのない料理なのに、どこか懐かしさを覚えるのはなぜだろう。素朴で、あたたかくて、安心する味。異国の地で知人の家に招かれ手料理を振る舞われたような、友人の田舎に行っておばあちゃんにたくさんのご馳走でもてなされているかのような感覚だ。その秘密は、スリランカの人たちの食文化にあるようだ。
「『カムカム』の料理は私のお母さんの味です。スリランカのカレーは日本のお味噌汁のように、それぞれの家ごとに味が違います。スパイスは辛いというイメージを持っている日本の人が多いと思いますが、スリランカでスパイスは薬草なんです。たとえば子どもが「お腹が痛い」と言えば、お母さんは薬を与えるのではなく、スパイスの配合を変えて料理を作ります。ちょっと外に出てハーブを摘み料理に使うなど、身近なもの、自然なものを使う習慣が根付いているんです」スチッタさんは祖国スリランカの文化を楽しそうに語ってくれた。スリランカで無農薬スパイスを作っているというお父さんから、手軽に買えないものを仕入れることも多いという。「お父さんの愛も入っているし、これも美味しさの秘密の1つですね」
スチッタさんはスリランカの人たちが日本人に比べて風邪をひかないし眼鏡をかけている人も少ないのは、家庭料理を食べているからではないかと感じているという。食べ物の大切さをより実感し、今はアーユルヴェーダの料理について勉強している最中。近いうちに店での提供も考えているらしい。スリランカの食や文化を日本に伝えたい。もっとお互いが身近に感じられるように、日本とスリランカの懸け橋になりたいと意欲的なスチッタさん。彼の活動はまだまだ始まったばかりだ。
住所 | 大分県別府市鶴見9組ルミエールの丘S-16 |
---|---|
営業時間 | ランチ 11:00~15:00 ディナー 17:30~21:30 |
休日 | 火曜日 |
電話番号 | 0977-51-5725 |
駐車場 | 10台 |