ささくれた心の避難場所

 

ちょっと元気がなくなったので、赤い扉を開いて『cocolate』へ逃げ込んでみた。店内に漂うパンの香りに、心がふわっとゆるんでいく。食パン、グラタンパン、クリームパン、あんバターフランス、マドレーヌ、クッキー、タルト……どれも食べたい。イートインスペースではカフェメニューも注文できる。新しいものに挑戦するか、定番メニューをいただくか。たくさんの種類があって迷うのは、嬉しい悩みだ。

 

 

親子連れ、大学生くらいの男性ひとり、車で乗り付けるマダム、ジョギングついでに立ち寄るおじいちゃん、実にたくさんの人が入れ替わり立ち替わりやってくる。さっと買ってささっと帰る人もいれば、じっくり腰を据えてコーヒーをすする人もいる。それぞれが自分の時間を楽しめる場所なのだろう。

 

 

席に着き注文したのは「チーズカレーポットパン」。厚切りの食パンをくり抜いた器に、大豆のカレーがたっぷり入り、焦げ目のついたチーズが乗っている。見た目よりもボリュームがありお腹いっぱいになるが、素材がヘルシーなのでサラリと食べてしまった。付け合せのビーツのピクルスは、甘さと酸っぱさとバランスが絶妙だ。たっぷり添えられた野菜も嬉しい。ほかにもハンバーガーやおから入りパンケーキなど、ヘルシーなメニューが揃う。事前連絡すればベジ対応も可能。メニューのほとんどが手作りなのも、安心できる。

 

 

「私はもともとお客さんで、ここのお店のファンだったんです」と話すのは、店長の後藤 朝子(ともこ)さん。すかさず「後藤さんより優しい人に出会ったことありませんよ、私」と言葉をつないだのは、オーナーの相馬満香(みか)さんだ。2人の仲良しな掛け合いに、こちらまで笑顔になる。『cocolate』には、笑顔と優しさにあふれた人しかいない。働いているスタッフさんみんなが楽しそうで、だからこそ落ち着くのだ。パンの種類が30〜40種類、お菓子の種類や味に細かいバリエーションが豊富な理由も、お客さんやスタッフの要望を受け入れて作り続けてきた結果だという。たとえばマフィンは、同じように見えて種類が盛りだくさん。ドライフルーツやチョコレート、ナッツなどちょっとずつ入っているものが違うのだ。迷ったらスタッフさんにおすすめ聞いてみるといい。それぞれの人がそれぞれのお気に入りを愛情たっぷりにプレゼンしてくれる。

 

 

「以前は看護師で仕事も好きだったんですが、自分で何かをやってみたい気持ちがあり、お店を始めました。開業には反対の声も多かったんですが、私は猪突猛進タイプなので、結局賛成してくれた妹と突き進みました。看護も今の仕事も私としては同じ『目の前の人を元気にする』ことなんですよ。だから『食べると元気になる』って言われると嬉しいんです。周りのスタッフが本当にいい人しかいなくて、働くのが楽しいですね」と、オーナーさんは明るい表情を見せた。

 

 

おだやかな耳触りのBGM、刺激の強すぎない体を気遣った食事、心くすぐる甘いスイーツ。なんとなく元気が出ないときは、優しい人にふれあい、優しいものでおなかを満たそう。それができる場所が、ここにある。

cocolate

ココラート

住所大分県別府市幸町2-18 弥田ビル1F
営業時間8:00〜18:00
(土日祝日 9:00〜/ランチ 11:00〜14:30/カフェ 14:30〜17:00)
休日第3日曜、 不定休(月1回土曜日)
電話番号0977-24-2680