じんわり染みる薬膳料理

 

「2年くらい前から通ってるかなぁ。以前は体調がよくなかったんだけど、お店に来れば来るほど調子がよくなって。最初の2週間くらいは、大げさじゃなく毎日通い詰めちゃった。おいしいし、安心して食べられるっていうのはもちろん、ハルさんの包み込むような人柄に惹かれて、ね」

 

 

「芝居の湯」や多目的ホールがあり、地域の人が日常的に利用する「別府市コミュニティセンター」敷地内にある、薬膳料理のお弁当屋さん『元喜玄氣』。常連の女性は、そのお料理はもちろん、店主の工藤 永瑠江(はるえ)さんのお人柄にも強く惹かれているようだ。

 

 

工藤さんは茨城県の出身で、20年ほど前に別府に移住した。出産後に子どものアトピーや自身がアレルギー体質に変わったことで、食生活を見直したのがきっかけとなり、栄養学や薬膳を学びはじめたという。 

「仕事で疲れて帰って、今日はお惣菜にしようかなっていう日、ありますよね。でも、スーパーには買いたいおかずがなくて。だったら自分で作ろうと思ったのが、お店を始めるきっかけでした。もともと料理は好きだったし、同じように買いたいおかずがなくて困っている人がいるはずだと思ったんです。ちょうどそのころ東北で震災があり、みんなを元気づけたいとの気持ちも込めて『元喜玄氣』と命名しました」

 

 

「食は味わうだけでなく、噛む、香るなど五感を使うことで、幸福感を得ることができるんですよ」と工藤さん。薬膳を食べるようになってから味覚や体が整い、疲れたときの対処や、体調を崩しそうになったときの予防法も身についたという。

 

 

この日いただいたのは『日替わり弁当』。少しずつたくさんのおかずが詰まっているのが嬉しい。調味料は無精製でミネラルが豊富なものを厳選して使用。油はオリーブオイルとゴマ油のみ、砂糖は黒砂糖やきび砂糖を使い、料理によって5種類もの塩を使い分けるという徹底ぶりだ。使われている野菜の一部は、工藤さんの畑で採れたものだという。

 

 

熱烈なファンが多く、月単位で配達注文する人や、毎日のように店に通う人もめずらしくない。会議用やピクニック用のお弁当もあり、ハラルやベジタリアンにも対応可能。「薬膳料理」というと、ちょっと特別なものに感じてしまうが『元喜玄氣』のお弁当は「お家薬膳」で、馴染みのあるもので作られているのも特徴だ。

 

 

「ここのお弁当があってよかった」「毎日食べても飽きない」というお客さんの声が何よりも嬉しいと工藤さん。お店では、薬膳料理教室や勉強会、異業種交流会も定期的に開かれている。「私ひとりではできないけど、みんながいるから、新しい試みがどんどん生まれて続けています。人のつながりって本当に大切で、そこからすべてが生まれているんだなと感じる日々です」と話してくれてた。 

冒頭で話しかけてくれたお姉さんは「ここは温泉もあるし、いい情報もあるし、いい人もいて、元気になれるんです。いつも楽しみに来ています」と微笑む。工藤さんのお人柄とお料理に引き寄せられて、『元喜玄氣』にはおいしくて元気になれるコミュニティが生まれていた。

元喜玄氣

ゲンキゲンキ

住所大分県別府市上野口町29-13 別府市コミュニティーセンター内
営業時間9:30〜完売まで
休日日曜日・研修日
電話番号0977-23-3714
その他当日注文8:00~
(配達は2個より承ります)